日本工業大学工学部の展示作品『素の家』が火災!責任と謝罪は?

日本工業大学工学部の展示作品『素の家』ブースで火災、男児死亡!製作者の責任と謝罪や今後について書いていく。

この事故は東京デザインウィークにて屋外展示を行っていた作品の中で起こってしまった。木枠でジャングルジムの格子のように組まれた中に、木を薄く削ったおがくず状のものがあり、白熱電球(その後の会見によりLED電球だったことが判明している)が中で光っている。筆者は先週の日曜日実際にイベントを見に行ったのだが、優しい、温かい光に照らされて、洞窟でたき火をしているような温かい光に和やかな気持ちになったことを覚えている。

黒いニットを着ていたこともあり、ささくれが引っかかるのを恐れて中には入らなかった。心象的ノスタルジーにほっとする一面、一抹の不安を覚えた記憶がある。なんせ、合理的な火おこし装置なのだ。

いやな予感が的中してしまった。まだ5歳の男児が亡くなってしまったのだ。

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『素の家』のコンセプト(設計趣旨)の皮肉

これは、今回の東京デザイナーズウィークで配布されたパンフレット、会場案内だ。今回の事故の後だと、この中にあった日本工業大学の『素の家』のコンセプトがとても皮肉に感じる。

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日本工業大学の『素の家』製作趣旨の項目がここだ。

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『生物は巣を作った。人間は巣を作った。「私は素に戻りたい」私は家を削り、暖をとる・・・。』

というものだ。自然と人とが隔離され経済至上主義に走った人間に対するアンチテーゼを投げかける、内省的でシンプル、けれども多くのメッセージを含んだ、森に暮らしたいと常々思っている筆者は平時であれば共感する素敵な設計趣旨だ。しかし、「暖をとる」の箇所が本当に皮肉だ。本当に行き場のない悲しさがこみあげる。

 

責任の所在は?

今回の責任の所在を明らかにするなら、『素の家』を設計した日本工業大学のチームにも確かに重大な責任はある。しかし、彼らはまだデザイナーの卵であり、危機管理について実感のない大学生だ。自身が良いと思うものを頭を捻って捻って考え上げたものだっただろう。

危機管理についてはまだ教師や運営陣の手を離れるべきではなかった。最も、その「大学生」という子供を守るべき大人たちもこのイベントにおいては機能していなかったのだ。

筆者は昨年のTDW(東京デザインウィーク)の出展作品に携わった事がある。そのため内情はある程度把握している。

この日本工業大学のインスタレーション、『素の家』は大規模ではあるが「建築物」という定義はされないため、耐火に関する細かい指定はなかった。消防法に照らし合わせて問題ないよう準備したというのも疑わしい部分が残る。

筆者はイベントの参加経験において、イベント自体や運営サイドにも課題があることは感じていた。問題が折り重なって起こるべくして起こったともいえる今回の事故の責任について、詳しくはこちらの記事を読んでいただきたい。

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謝罪はいつ?

製作者だけではない。杜撰な管理をしていた運営会社や日本工業大学の教授陣も含まれる。責任はそれらの全員にある。

11/6日夜、東京デザイナーズウィーク社長の川崎健二氏と、学校作品展を担当した多摩美術大学の田淵諭氏が謝罪会見を行った。

川崎氏も、田淵氏も、被害者遺族とデザインに対して本当に真摯な姿勢を見せていた。

以下、両氏の謝罪の全文である。

 

川崎氏:「尊い5歳のお子さまが亡くなられたこと、本当に慚愧(ざんき)に堪えません。主催者として重く受け止めております。申し訳ございません。悔しくて悔しくてしょうがありません。警察、消防で原因究明しています。それを待ってご報告申し上げたい」

原因については今のところ不明ということになっているが、何らかの形で過加熱した電球や配線が木くずに火をつけてしまったという見解が今のところ最有力だ。もし万が一煙草のポイ捨てや放火によるものだったとしたら、到底許されることではない。

 

田淵氏:「デザインに夢を持って訪れたであろうお子さまを死なせてしまいました。未来を考えると、無念でなりません。心からおわび申し上げます」

田淵氏の、デザインの持つ力は人を幸せにする、という信条が強く感じられる。今回は度重なる問題によりこのような事態になってしまった。日本に『デザイン』を普及させるため各方面へ走り回っていた田淵氏のことを思い起こすといたたまれない。これをきっかけにデザインというものに対し偏見の目を向けられることになってしまったら、と考えると報われない気持ちになる。

両氏とも、日本と人の夢と未来を猛スピードで追いかけて足元がおろそかになってしまったのだ。本当に、全ての人にとって痛ましい事件だ。

全ては「焦り」が成した業だ。

デザインの余地の追求と、安全性の確立。双方を立てるにはお金も時間もかかる。そういったことを私たちが理解し、デザインの価値に投資し、日常に転がるデザインを愛でることが出来るようになれば、今回のような不幸な事故はもう起きないことだろう。そう祈ってやまない。

 

なお、日本工業大学は6日夜会見を開き、「今回このような火事が起きたことに対し、本当に申し訳なく思っています。詳細はまだわかりませんが、お子様が亡くなったと聞いていて、事実確認を急ぎたい」というコメントを残している。今のところ続報は入っていないようだ。

このコメントだけを見ると、サークルは独立して動いていたようで、大学側は関知していないポーズをとり続けトカゲのしっぽを切るような姿勢にも見える。いらだちを抑えて続報を待とう。

日本工業大学の成田健一学長からの謝罪があった模様だ。「本学の学生が製作・出展したアート作品で、このような事故が起きましたこと、大学として深くお詫び申し上げます。大変申し訳ありませんでした」とのことだ。

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